リフォーム通信
2022/04/18
リフォームお役立ち情報【2022年3月版】ウッドショックでなぜ木材が高くなるのか?またリフォーム工事では工事規模に応じてどれぐらいの高騰を招くのかを解説しております。
動画
2021年5月頃から業界を騒がせてきたウッドショック。実はまだまだその余波はとどまるところがありません。
ウッドショックとは何なのか?なぜ木材が高くなってきてしまっているのか?
実際にどれぐらい高くなるのかを木材毎や、リフォーム工事の大別ごとに解説しております。
これからリフォームや、新築をご検討頂いている皆様に是非ご覧いただきたい内容です。
目次
動画 内容説明
今回は「ウッドショック」と呼ばれる木材の高騰についてご紹介させていただきます。
2021年7月に一度動画を配信させていただきましたが、2022年3月状況が変わってきましたので、その状況も踏まえた上で、「ウッドショック」が分からない方にも、できるだけ分かりやすくお話ができればと思います。
まず、価格の高騰や品薄、木材が高い理由について、そしてリフォームへの影響(木材の金額の変動についてなど)、またいつリフォームすれば良いのかという、大きく分けて3点についてご説明させていただきます。
それでは、まず現状日本における木材需給の状況についてです。
日本の木材需給に関して、昔は日本国内だけで完結していましたが、円高の影響や世界情勢の影響、外材の方が安かったりと様々な要因があって、グラフで見ていただいている通り、どんどん国内生産のモノが少なくなっていきました。
輸入は1983年には10%程度でしたが、2000年頃には80%まで上昇し、8割以上が海外の木材を使っていることが分かります。
日本というと森林が多くて、平地が少なくて、何故こんなに木材があるのに使えないのかと思うかもしません。
花粉症持ちの方は、何故こんなに杉を売れるんだと思うかもしれません。
日本は国土の洪水や大雨によって山が崩れたりしないように、あえて木を植えていることもあるようです。
全て日本国産のモノを使うわけにもいきません。多くの木が生えていても道がなかったり、高齢化社会に伴い人手が足りないなど、様々な要因があって、最新の農林水産省のデータを抜粋すると、2020年時点で約6割近くが輸入材です。
4割は国産の木材を使えていますが、全産業において6割がカナダやアメリカ、ヨーロッパ、ロシアを始めとする外国の木材に頼っています。
では、どこの国からの輸入が多いのか、材木の種別ごとにまとめてみました。
※林野庁の出している資料からの抜粋になります。
丸太一本を輸入して、その丸太を日本で加工する場合は、アメリカ、カナダ、ニュージーランドから多く輸入しています。
次に製材、剥いたり、一部加工した材木については、ロシアやヨーロッパ、カナダが多く、合板(板状のもの)はマレーシア、インドネシア、ベトナムが多いです。
集成材(複数の板を結合させたもの。小さな板を乾燥させ、同一繊維方向で接着剤を用いて張り合わせる)は、中国、ロシア、ヨーロッパから多く輸入しています。
木材の高騰、品薄に関する原因ですが、まず一つ目にアメリカにおける需要の増加が挙げられます。
在宅で家の購入が増えたり、低金利なので住宅ローンが組みやすくなったり、アメリカでは家がどんどん売れるようになってきたことが背景にあるのではないかと言われています。
アメリカの米国勢調査局が出している、アメリカの住宅着工件数は、2022年2月時点で過去1年間を見ると、建築許可数は185万戸、着工件数は176万9000戸、完工件数は130万個になっています。
着工件数は右肩上がりで2017年120万戸から、2022年170万戸と上がっています。
このようにアメリカでは様々な背景から、多くの住宅が建築されるようになり、今までアメリカで作られている木材は日本に多く輸出していましたが、日本まで持って行かずにアメリカで使うという話になりました。
西海岸の方が日本で使うような木材を多く扱っていたこともありますが、そういう材料も日本には持っていかずに、アメリカの内需で使えるんじゃないかということで、輸出が少なくなりました。
輸出が少なくなることで品薄になる、そして需要が変わらなければ単価は上がるので、木材の価格がどんどん上がるという傾向にあります。
またアメリカの着工件数は年間176万件ですが、日本の一昔前は着工件が年間で100万戸と言われていました。
しかし、中古流通がどんどん流行ってきて、世界経済や日本の経済影響もあったかと思いますが、100万戸に達成しなくなってきました。
最新の情報では、2020年以降のデータによると、大体80万戸の着工件数です。
つまり、アメリカの約半分ぐらいの件数となります。
面白いデータとして、世帯数についてはアメリカは日本の約3倍の数がありますが、着工件数は日本の約2倍程度に踏み留まっています。
なので、アメリカの着工件数はどんどん伸びていますが、世帯数の比率は、まだまだ日本の方が多かったりもします。
そうすると、日本がそれだけ新築の需要が多い、新築願望が強いのかなと思います。
逆を言うと、アメリカはまだまだ着工件数が増えていく伸びしろがあるのかなとも思います。
アメリカの需要が多くなったことによって、アメリカで作っている木材がアメリカにどんどん取られてしまっています。
なので日本で木材を買おうとしても、モノがないため、枯渇し高騰や品薄を招いてしまっています。
それでは木材の高騰や品薄の要因の2つ目ですが、海運費用高騰による木材の価格高騰となります。
実際、物を運ぶ時に航空の方が早かったりしますが、その分費用が高いので、運輸のメインは海運となっています。
では、物を運ぶ時に何が必要かというと、物を入れる『コンテナ』が必要になってきます。
映画などで大きい箱をバンバン船に積んで運んでいるのを見た方もいらっしゃるかと思います。
様々な要因があり、海運の運賃が高くなっていますが、主に言われている原因がコンテナの不足となります。
では、何故コンテナが不足しているのかと言うと、世界のほとんどのコンテナは中国が作っていたそうですが、コンテナの製造数が256万個から143万個に下落してしまいました。
米中の貿易摩擦や新型コロナウィルスの影響などから歯止めがかかってしまったようです。
中国側はコンテナをいくら作っても売れないのではないか、需要ないのではないかということで、作る量が減りました。
しかし2019年までのデータを見ると、コンテナの取扱数は全然減っていません。
ご覧いただいたように「TEU」という単位がありまして、20フィート換算のコンテナ個数の単位を「TEU」と言います。
2018年は7.9億TEUだったのが、2019年には8.1億TEUなので、なんと2,000万個も増えています。
なので、必要数が足りず、取り合うような状況となっています。
また、新型コロナウィルスに関して、日本では若干落ち着いたようになっていますが、世界中ではまだまだ猛威を振るっています。
中国では、ロックダウンの影響もあって、世界中の港湾において、コンテナを下ろしてください、あげてくださいと言っても人がいないので、港にコンテナが滞留することによって、結局なかなか持っていけません。
そして何が起こるのかというと、コンテナが足りないが、運びたいので、価格が高くてもいいから運んでほしいということでモノの値段がどんどん上がっています。
これは木材問わず、様々な生活用品などでも言われています。
原材料の高騰と言われて石油が値上がっているのもありますが、こういうところが一因になって、様々な金額が上がってしまっているのもあります。
では、実際にどのくらい上がっているのかというと、林野庁が出している資料になりますが、2020年1月と比べると、コンテナの価格は欧州発・米国発がなんと2倍~3倍近くに上っています。
そもそも一つのコンテナを運ぶのに20万円くらいかかっていたのが、60万になるということになります。
最終的に消費者の皆様の手に渡る時の価格がどんどん上がっていくことになっていきます。
欧州や米国だけの話になりますが、他も全体的に見てみますと、フレイトス・バルチック国際コンテナ指数(FBX)というのがあるそうです。
これは世界の主要コンテナの航路の運賃の数平均を指し示した値になっています。
先ほど2020年1月の話をさせていただきましたが、この辺りの場合は2020年4月の値と比較をすると、2022年3月の値が6倍近いです。
昔は20万くらいだったものが120万にもなっています。
最終的にこのように価格が上がってしまうと、皆様、消費者の手に渡るときに最終的に価格も上がっていってしまうのが現状になります。
そして3つ目の要因が情勢不安などによる供給減少と書かせていただきました。
実は2022年の1月ロシアが原材料として丸太を輸出するのを制限し出しました。
丸太を使って、木材を加工して、棒やパネル状にしたり、もしくはドアやフローリングなど様々な用途がありますが、こういったことに使えなくなってしまいます。
ロシア側としては自然を保護するためという理由もあるらしいのですが、貿易摩擦や様々な懸念があったのかなと思います。
さらに、ウクライナとの戦争によって、様々な輸出入が制限されるのではないかという懸念点から、木材の価格への転嫁も始まっています。この戦争がいつまで長引くのか、また戦争が終わったからといって、全部終わりというわけでもないかなと思っています。
なので、ここからどこまで影響が及ぶのかは未知数ですが、既に2022年1月において丸太はもう出さないという話にもなっています。
先ほど観ていただいたグラフにもありますが、日本の場合、ロシアからは製材を輸入しています。丸太から派生して、製材の方も輸出を制限するとなると先行き不透明な状況になってしまいます。
現状ロシアからの輸出入が制限されつつある状況なので、モノが入らない以上、ロシア産以外のものを買おうとなるので、更に価格が高騰していくという背景になってきます。
価格高騰の要因とは言いづらいところもあるんですが、先物価格、先物取引において、一度ご説明させてください。
2021年の5月頃からウッドショックと言われる、材木の価格が上がり始めました。
様々な要因があり、先ほどお話しさせていただいた通り、アメリカの国内需要が増え、アメリカから木材が出なくなって、アメリカも木材をどんどん買うようになって、価格が高騰したとか、コロナの影響や世界情勢等々があって、海運の価格が上がった、他にもヨーロッパで虫害があったり、記録的な寒波が発生したり、カナダの工場不振など、様々な要因があります。
先物取引としても、木材の価格は非常に上がりました。
第一次ウッドショックと書かせていただきましたが、先物取引の価格が実経済に影響を及ぼすのが3カ月から半年前後だと言われていますので、私、個人的には5月時点で先物価格が上がり、2021年の5月に始まったウッドショックは2021年の年末頃に落ち着くのかなと思っていました。
実際、先物価格も下降を続けていて、これだったら回復するんじゃないかと思ったのですが、また2021年末から徐々に上がってきており、去年と同じぐらいの水準まで来ています。
なので、すぐに収まる傾向が強いとは言いづらいのが現状です。日本はコロナの影響というのが非常に薄く見えてしまって、何とも温度差があるかもしれないんですが、世界中ではまだまだコロナが流行っていますので、いろんな影響を加味して木材価格が高騰してます。
その一環として、このように先物価格でも見て取れるのが特徴かなと思います。
では、木材の価格高騰よって実際に皆様がリフォームを考えるときにどのような影響があるのかというのを改めてご説明させてください。
まずリフォーム、家づくりをする時に、材木は非常に良く使います。
鉄を使う場合もあるのですが、あくまで今回は戸建やマンションに関して木軸の場合の木材についてお話をさせていただければと思います。
リフォームにどんな材料を使うかというと、大きく分けて3つに分けられます。
すごく乱暴な分け方となりますが、まずは太い木材、柱とか梁と言われる家全体を支える構造材です。二つ目が細い木材で、垂木や間柱など、そこまで太くない木材、そして3つ目が板状のもので、合板とかベニヤ、構造用合板など板状のものに大別されます。
写真にもありますが、梁って言われる横方向で構造を支えるもの、屋根垂木や石膏ボードも数多く使われています。
こういったものが価格がどんどん上がっていっている背景があります。
ただし全てのリフォームがそうではなく、木材を使わないリフォーム、例えばトイレを外して付けるだけ等、木材一切触らない工事もあります。リフォームの種別にもよりますが、多く利用する場合は影響が大きくなりますが、木材を利用しない場合、さほど影響を受けない場合もあります。
一般的に、間取り変更や大規模リフォームでは多くの木材を利用する傾向が高いです。
また、プレカットというものがありまして、木材の加工工場で組み込めるようにします。
乱暴な言い方をすると、プラモデルのように、これをここに使ってなど、作る前にカットして成形してあるものをプレカットと呼んでいます。
非常に悩ましいところなのですが、状況に応じては価格が出せません。過去の経験や状況を鑑みて、大体これくらいというお話をさせてもらって御見積書を書いているところが多いと思うのですが、この混沌とした木材の価格状況においては、木材問屋さんで成形が終わって出荷できるという段階になって初めて値段が決まる場合もあります。
そうすると、プランを考えて、図面を考えて、御見積書を出して、合意があり、1500万、2000万で家をつくりますねという時点では、実はプレカットって呼ばれる木材の価格が決まっていない場合があります。
そうすると、建築会社が話す見込み価格は、2倍~3倍になるかもしれませんし、もしくは安くなるかもしれません。そこは分かりませんという状況で話を進めている場合もあります。
何でそんなことになるのかというと、今お話した通り、様々な要因が重なり、価格が高騰しています。高騰すると先物取引のようにドーンと下がる事もあります。なので価格が決定されるのが工場から出荷する時点だったりします。
なので、御見積書が確定した木材の価格になっているのか、それともまだ価格の変動があり得るのか、または確定した時に変更の見積もりを出させてくださいと言う場合もあるのでお気を付けください。
ただ、いくらか分からないものにお金なんて出せません。なのでその指針として、イメージを皆様と同じにするために、いくつかお話をさせてください。
一昨年、ウッドショックが始まる前ぐらいと比較して、2022年3月時点では太い木材の柱や梁とか非常に入荷しづらいです。なので価格が2年前、3年前と比べて2.5倍ぐらいしています。
続いて細い木材、これは1.6倍ぐらいで、木で作った合板状のものは1.2倍ぐらいです。
そして、板上で石膏で作られたものは、1.3倍ぐらいの価格です。
見ていただけると分かるように様々な要因が重なり、価格はどんどん上がっています。この1年ぐらいを振り返ってみても、横ばいはあるものの、下がってはいないのが分かります。
材料を基に言われても分かりづらいと思いますので、高騰する費用のイメージはどれくらいかをご説明します。
山口建設は、年間200~250件くらい色々工事をさせてもらっていますが、100万~500万、1000万、2000万と様々な工事を承っております。
その中で、どれくらい価格が高騰するのか過去の実績を踏まえて整理してみます。
工事の規模や種別において非常にばらつきがありますが、例えば2800万ぐらいの工事の場合、プラス150万ぐらい木材の費用が必要になります。
対して、2000万ぐらいの工事だった時、119万くらい上がります。同じように、1900万ぐらいの工事だと98万くらい価格が高騰していきます。また、1000~1100万ぐらいの工事では、93万円木材として価格がプラスの追加となります。
他にも、500万程度の工事になると、木材をあまり使わない設備の工事が多い場合は大体33万程度プラス、同じように600万ぐらいの工事で9万の増額の場合や、120万の工事で2万の増加など、非常にバラつきがあります。
ただ場合によっては9%から10%ぐらい総工事費から増額になると思ってください。
2022年で考えると、概ねこれぐらいのイメージになるかなと思います。
このまま同じ比率で上がっていくというのは考えづらいところではありますが、もし2年後工事をする場合、上がるかもしれないし、横ばいかもしれないし、下がるかもしれません。あくまで過去2019年から2022年の実質3年程度の増減幅としてお考えいただければと思います。
徒然と色々なお話をさせてもらいました。
そもそも何でウッドショックが起きたのか、どういう理由で価格高騰してしまっているのか、それをリフォーム工事で考えた場合、どのくらい費用がかかるのかをお話をさせてもらいました。
では、ひっくるめて、いつリフォームをするのがいいのか、リフォームをするときのポイントになります。
家電と同じく、リフォームを考えた時が一番良い時期だと私は思います。
これから上がるかもしれないし、下がるかもしれないし、それは分かりません。
皆様の生活に合わせて、結婚とか出産とか転居とか入学とか、色んなパターンがあると思います。
その皆様のスケジュールに応じて、ご検討頂いていた結果がリフォームをする一番良い時期かなと思っています。
そして必ずリフォーム会社と話してください。ウッドショックの影響ってどこにあるのですか、と。
価格が出せる商品もあるし、場合によっては価格が出しづらい商品もあると思います。
その時は現時点はこの価格ですが、最終的な価格が高騰する可能性もあるかというのをしっかり話しましょう。
私が思うのは、リフォームを考えた時期が一番良い時期で、例えば新しい家を買うから、何月に工事をすると引っ越しがスムーズにいくとか、そういったタイミングが必ずあると思います。
最終的なゴールをリフォーム会社としっかりと話していただいて、それに向けて工事を淡々と進めていくのが一番良い方法かなと思います。
今回、ウッドショックのことでお話をさせていただきましたが、「原材料の高騰」という魔法の言葉、それによっていろんなモノの価格が上がっています。
例えば、アイアンショックもあります。
鉄や各メーカーの製品価格も上がっており、原材料の石油価格が上がり、それに伴って化学製品を作る時の材料が上がります。
先ほど話した海運の運賃も上がっているので、木材だけではなくて世界から仕入れるあらゆる材料が値上がっています。
また、コロナによってロックダウンが発生し、材料の供給が少なくなったことで価格が上がっているなど、様々な要因が考えられますが、2022年の4月から他にもいろんな商品の価格が上がっています。
恐らく皆様も、新聞やテレビのニュースでご覧になっているかと思いますが、生活雑貨や食料品も徐々に上がってきています。
つまりウッドショック以外の木材以外も上がってきている状況なので、これでリフォーム止めようとすると一生リフォームはできません。
あくまで今皆様の状況に応じて、無理のないスケジュール、無理のない資金計画に基づいて、各計画を楽しく続けられるのが一番ベストかなと思います。
今回はウッドショックがそもそも何かわからない方にも分かりやすいようにご説明させていただきました。
例えば、リフォームの御見積書でウッドショックで木材が50万も上がってしまっていると言われた時に「ウッドショック」って何だろう、そしてどのような背景で上がってしまっているのか、場合によってはリフォームの御見積書の提出時に価格が出しづらい状況もあるんだなというのが分かっていただければと思います。
ただ繰り返しになりますが、リフォームをするタイミングは皆様のライフイベントに応じて、ここまでに何をするかというのを合わせられるのが一番良い状況かなと思います。
リフォームをお考えの方が少しでもプラスになる事を願っております。
最後までご覧いただき、ありがとうございました!